ここ数年90年代のUS/UKインディーズ(特に大御所)のLPが高騰を続けています。まあそれは確実に海外でのアナログ・ブームの影響だと思われます。先々月に東京で、先月大阪でちょろっとレコ掘りしたのですが、値段もかなり高く全然抜けなかったし、そのあたり掘ってるのは外国の人が多かったです。確かに海外のサイトとかのぞくとそれ以上の値がついてたりするんですよね。正直ちょっとあがり過ぎだろ、って思うところもあるのですが、まあブームってのはそんなもんだし、高く売れるうちに売っておきたい、ってのは店として当然ですよね。
でも、僕が疑問に思うのは、高騰しているのがLPばかりで、シングルは何故に安く売られてるの、ってこと。以前はLP収録曲でもそのLPより7インチのほうが高い、なんてのはザラだったのに、今は確実にLPのほうに値がついています。
他方、DJの間では7インチの人気が高く、音楽雑誌で7インチの特集が組まれたり、7インチ・オンリーのパーティーが話題になったりしています。ただ、ここでもインディーの7インチについてはあまり語られることがないようです。
インディー・ミュージックと7インチ・シングルはパンクの時代から切っても切り離せない関係なのに、と、ちょっと歯がゆい思いで、この7インチ・ブームを眺めています。僕も今までに、それまではLPでプレイしたいたのに、7インチを手に入れたら「前から7インチで回してましたよ、という顔でプレイする」と笑いながら話すギターポップDJに何人も会ってきました。興味のない人から見たらどうでもいいことですが、そういう小さなこだわりや様式美というのも僕がインディー・ミュージックを好きな要素のひとつです。
で、結局何が言いたかったかというと、PEANUTS RECORDSはこれまでもこれからも、現在はあまりヒップではないインディーの7インチを押していきますよ、ってことです。ちなみに昨日はスプリット7インチを30枚ほどアップしてみました。このブログを読んでもらってるみなさんには、いまさら説明の必要もないかと思いますが、スプリット・シングルとは複数のアーティーストの楽曲を一枚のディスクに収めたもの。仲の良いバンド同士でA面、B面に1曲ずつ収めたり、インディー・レーベルが声をかけた4~5組のバンドで1枚のレコードを作ったりしています。中には2つのバンドがお互いがカバーした楽曲を収録するという変則的なパターンもあります。
スプリット7インチにはサンプラー的な意味合いも強く、ひとつのバンドが目当てで買ったら他にもよいアーティストを知ったなんてことも多々あります。いまはそういう役目はyoutubeやSNSが担っているのかもしれませんが、そんな便利なものがない時代に海外のアーティストとコンタクトを取りリリースしていたというのは、本当に愛情がなければできなかったことだと思います。小さく可愛らしい7インチの中にはそういったピュアな魅力がつまっているので、是非みなさんも手にとってご覧になってみてください。
昨日のアップ分からいくつかおすすめを貼り付けておきます。
90年代に僕らにたくさんの海外のインディー・バンドを紹介してくれた国内レーベルMOTORWAYからの7インチ。ホントどうやってこんなたくさんのバンドを発掘して、リリースしてたんだろ!?
USスモールレーベルENDEARLINGの7インチ。キュートでピュアな魅力溢れる5バンドを収録。
US老舗レーベルDARLAとオルタナ雑誌MAGNETの共同リリース。90′S USインディー・ファンには間違いのないメンツです。