夏の大三角

おととい昨日と二日間お休みをもらい、店に戻ってきてみると有難いことに仕事が山積みで、まだ発送なども済んでない状況です。またブログにしても休みの時の話しや、告知など書きたいこともあるのですが、記憶が薄れる前にこの衝撃をお伝えしておきます。発送などお待たせしているみなさん、まことに申し訳ありません。

オープン後すぐ店の電話が鳴り、そちらの場所は?今日開いてますか?と若い女性の声が。そして2時間後に現れたのは黒の細見のパンツに同じく黒のゆったりしたニットを合わせロングヘアーをかきあげる美女でした。ここから先は「あぶない刑事」で往年の浅野温子が演じた真山薫の休日をイメージして読んでいただければなと(え、知らない?お父さんや親戚のおじさんに尋ねてみてね)。

「お電話いただいた方ですか?」と尋ねると「レコードを探しているんですけど、NUJABESとかありますかね?」と開口一番。ただでさえ女性来客の少ない当店、しかもいままでに全く接点のないようなタイプに緊張しつつも、新入荷のコーナーからいくつか抜いて見てもらうと「うわ、(SHING02のLUV SIC )パート2だ!パート2が一番いいんですよね。大好きです」と興奮したように話す彼女。よくよく話しを聞くと、いとこの誕生日プレゼントにレコードを探していて、これは持っていないのを確認していたそう。(いとこは)ソウルとかハウスが好きなんですけど、他におすすめはありませんか?と言われたので、この曲の入ったLPを試聴してもらうと、「うわ、これもいいですね。いろんな曲が入っていていろんな場面で使えそう」とか「個人的には、いまかかってる曲は野外フェスとかで聞きたいですね」と的確な感想をずばっと。

で、他にもいくつか聴いてもらったのですが、やはりこの2枚が一番気になる様子。でもSHING02はレア盤でもあったので、購入をちょっと迷いながら「実は別にもうプレゼント買ってるんですよ。スカルプDを」と唐突に。一瞬きょとんとした僕の顔を見て「ちょっといとこ(髪が)薄くなってきてるので、スカルプDをプレゼントするとウケるかな、と思って」と浅野温子の笑顔で。そして「カレシでもないのに、いくら使うんだよ、って感じだけど、でもやっぱレコードは出会いだから、買うしかないっすね!!」と大変男前な発言と気前のよさで購入していただきました。

「絶対喜んでいただけますよ。またいらしてくださいね」というと「覚えておいてくださいね。スカルプDで!」といいながら颯爽と帰っていかれました。

アメリカではレコードの売り上げが伸びている、HMVが渋谷に新店舗を。などと聞いても、うちみたいな末端にそのブームが届くの何10年後よ?と、全く実感がありませんでしたが、本当のブームとは全く予想もつかないところからはじまるのかもしれません。90年代のアナログバブルの到来は小山田圭吾が資生堂UNOのCMでレコードを掘った時から、という説がありますが、いまから到来するであろうまだ名前のないブームのはじまりは、浅野温子、スカルプDそしてレコードという決して交わるはずのない3点が夏の大三角を描いた2014年8月14日だったと、後々振り返られるかもしれません。これからレコードブームでうちの店もめちゃくちゃ忙しくなる予感がしています。

*お客さまにご迷惑がかからないよう、フェイク交えて書いております。フィクションとしてお楽しみください。

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