今月はじめに準備号のvol.0を配信したメルマガ”zine&rhyme”、8月頭のvol.1用の原稿をちょこちょこ執筆しているところです。「ピーナッツのA to Z」次号のBは”BELLE & SEBASTIAN”と”BLOOM NIGHT”の二大巨頭がいたために惜しくも選から漏れましたが、こちらもかなり影響を受けたといえる”Beikoku-Ongaku”のことをアウトテイクとしてブログにアップしておきます。
ご存知の方も多いでしょうが、Beikoku-Ongaku(米国音楽)は所謂インディー・マガジンの走りで、初期はそれこそ米国のインディー・ミュージックを中心とし、後半は渋谷系中心の内容でした。渋谷系雑誌と揶揄されることもあり、元バイト先の先輩O藤さんなんかは「絶対買わない」と公言していたように、インディー・ファンの中でも賛否のある雑誌でしたけど、僕は最初から最後まで買ってました。ちょっと話しはそれますが、渋谷系って何だったのか、というのを簡単に言葉にすると、ミュージシャンもDJも、ライブに行く人もクラブに行く人も、雑誌作る人もその雑誌の読者もみんながレコードを買っていた時代、のことだと思うのです。まあ異常と言えば異常な時代とも言えますが。
で、Beikoku-Ongakuはいまではいろんな雑誌が取り入れているCDのオマケをつけるのと、日本語と英語のバイリンギャル仕様にしたのは1番最初で、そういう意味では早い雑誌でしたが、出るのは非常に遅く予定より数か月~数年遅れるのも当たり前。05年に発売されたvol.23を最後に残念ながらフェイドアウトしてしまいもう10年経とうとしています。
がしかし、実はいまでもコンスタントにBeikoku-Ongakuの文字を見ることができます。それはウェブマガジン「ハニカム」のNEWSの中のBOOKのコーナーで、本を紹介する執筆者の一人にBeikoku-Ongakuの編集長だった川崎大助さんがいるのです。というか本についての原稿は9割方川崎さんが書いています。その署名がtext: Daisuke Kawasaki (Beikoku-Ongaku)となっているので、まだBeikoku-Ongakuも存在しているのだとちょっと嬉しくなります(まあ今後vol.24が発売されるのか、と言えばまたそれは別の話しでしょうけど)。その川崎さんの原稿、ハニカムの他の原稿と比べ物にならないくらいに長くまどろっこしいのですが(例のフィッシュマンズの大河連載の長さと言ったら!)、僕もキライじゃないのでいつもチェックしています。
これまでにも川崎さんが「ハニカム」で紹介した本をいくつも買いましたが、近ごろ購入したJUXTAPOZはホント最高でした。「ハニカム」効果かこの記事で知った頃にはすでに入手困難になっていて、手に入れるまでに1ヶ月ほどかかりましたが、頑張って探した甲斐のある素晴らしい内容でした。
音楽を紹介していた川崎さんが何故本を紹介しているのか、とちょっと不思議に思っていましたが、小説家になっていたのを知り腑に落ちました。その川崎さんの小説を読めるのがTOKYO CULTuART by BEAMSからリリースされている「IN THE CITY」という文芸カルチャー誌。編集人が堀口真由美さん、アートディレクションも川崎さんという米国チームで制作されています。なかなか最新号が発売されないBeikoku-Ongakuの頃がウソのようにコンスタントにリリースを続け2010年の10月に出たvol.1から数えつい最近出た最新号でvol.8になります。僕も全号購入していますが、やっぱりBeikoku-Ongakuの続編のような気分で読んでいます。川崎さんの小説は短編ですが毎号載っていて、センシティブさとアナーキーさが同居するような不思議な読み応えで僕は好きです。
川崎さんは小説、アートディレクションの他にも「スタイルなのかカウンシル」というコラムも連載しています。そのコラム(IN THE CITY vol.6)で、2012年6月号にリニューアルして再び「Magazine for City Boys」の文字が踊るようになったマガジンハウスの「POPEYE(ポパイ)」について「バンドの再結成みたいなもの」と書かれていて、妙に納得してしまいました。僕も40になり、バンドの再結成には過剰な期待をせずに冷静に見れるようになったこともあり、ターゲットの年齢層を10~15歳あげられ狙い撃ちをされている、と知りつつもリニューアル後のPOPEYEは楽しく読んでいますし、去年のフジロックに引き続きSTONE ROSESを観にソニックマニアに遊びに行こうと思っています。まあ後者はカミさんの機嫌のよい時に上手く切り出せ、かつ許しが出ればの話しですが・・・。しかしなにこの着地点、と自分でも思いますが、アウトテイクなのでご容赦ください。
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